2016/05/18

整備された思考のお庭

工学部・水柿助教授の日常 (幻冬舎文庫)
森 博嗣
幻冬舎
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工学部・水柿助教授の逡巡 (幻冬舎文庫)
森 博嗣
幻冬舎
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工学部・水柿助教授の解脱 The Nirvana of Dr.Mizukaki (幻冬舎文庫)
森 博嗣
幻冬舎
売り上げランキング: 287,955

電子書籍で3冊セットを購入したので素敵な表紙を堪能できていません。
いちおう架空の人物がでているけど自伝的な小説。小説なのか?と何度も首をかしげるけど、そのたび「これは小説である」と断りが入るので小説なのです。
言葉遊びの飛躍、想像力の飛躍がぽんぽん飛び出して、何の話をしていたかわからなくなる。脱線に次ぐ脱線が最初はとにかく苦痛です(笑)

1作目の「日常」はテンポやスタイルに慣れるのがいっぱいいっぱいでちょっとした苦行だわ…と思って読み進めていましたが、須摩子さんとのなれそめあたりからめちゃめちゃ面白くなってきました。2人の関係を私は気にしていたのね……。だって彼の本読んでたら3行に1回は奥様のことですもんね!!!気になるの仕方ないよね!!

そう、須摩子さん(ささきすばるさん)といえば、森さんの別の本「半熟セミナ」の表紙のせいで、私の脳内では今敏監督アニメの「パプリカ」で再現されておりました。口調とあってると思います。パプリカかわいいです、大好きです。躁状態というか、ハレの映画というか、お話も好きです。筒井康隆だっけ?あと平沢進の主題歌も好きです。

森さんは常々「いつもいろんなことを思い浮かべている」とおっしゃっているので、この小説のような脱線を脱線が追い越すみたいな怒濤のチャンネル切り替えが、彼の頭の中でいつも起こっているんだろうと思います。なのでこの作品は、彼の思考回路を少しだけ疑似体験できるものなんじゃ?親父ギャグ連発とか、()の中をとても長くして何の補足だったかを忘れさせたりとか、でも最後にちゃんとふわっと戻ってきたり、ギャグも関連性があったりして、破綻してるように感じるけど、実際はもっと大きなまとまりになっているという仕組み。だから読み手も頭の中のスケールを大きくして読まなきゃいけないんですね。そういう訓練に最適です。テンポに慣れたらゲラゲラ笑えるとてもたのしい読みものでありました。

特に「なにをかいわんや」「あにはからんや」あたりの古い言い回しの気に入りようがツボにはいってしまいました。私も密かに言葉の響き面白いよな…と思っていたので執拗に繰り返してくれて嬉しかったです。

そして私が強くマーカーをひいた(といってもipad上だけども)のは、水柿君の小説があたってお金持ちになったときの須摩子さんの描写です。
貧乏だったときの「コーヒー代も入ってない」でホロリとし、夫が趣味に使う金額は増えているのに「もっと節約しなきゃ」と夫に言われてしまうところで歯ぎしりし…その辺で気づいたけど、その描写をしているのも夫の森さんなんだよなあと思うと、「貧乏だったころの大変そうだった奥様」の姿をずっと記憶してらしたんですね……夫婦愛……と勝手にほくほくするのであります。

関係ないけどお金持ちになったあとの「印税が入りすぎてたまに記帳させたら3冊になって返ってきたりした」ってとこもマーカーが。確定申告大変そう。

あとあと、須摩子さんが7人目のガールフレンド、だとか、1人でいる方がすきといいつつ合コンのセッティング役をそつなくこなすだとか、森さんはどう考えても人見知りじゃないし、こつこつ趣味を極めるギークでありながらリア充という、すごい存在なのだと確信しました。

2016/05/14

めまいといったら

風邪をひいた。いつもなら2日あれば余裕で治せるのだけど、今回は謎に5日かかりました。最初は熱とめまい、それがおさまると重たい頭痛が長引き、ようやく頭痛が消えかけた今は咳に苦しんでいます。

特に今回は頭痛がひどく、動けないほどではないけど座っていられない程度に痛かった。病院でもらう頓服を6時間すぎたらすぐ飲んで耐えましたなあ。

頭痛が長引くといつも思い出すのはE.M.フォースター作「インドへの道」に出てくるアデラ・クウェステッド。ひどいめまいに襲われる彼女はインド人の罪をでっちあげる。宗主国イギリスのインドへの偏見がめまいと化して襲いかかるわけです。そしてクライマックスで霧が晴れたようにめまいから解放された彼女は、すべての妄言を取り消す。そう、めまいに襲われている間は他人が許せなくなるんだよねって、そんな話ではない。

私がその作品を卒論に選んだのは、卒業論文くらいは自分と同じ時代に生きていない人の、あんまり娯楽要素のない作品を取り上げて四苦八苦するべきじゃないかと思い込んだせいだったりする。案の定何が面白いのかまったくわからぬ小説であったし、長かった。でもラストの締め方はかっこよかった。
結局コツコツ勉強する楽しみに出会うことなく適当に卒論を切り抜けたので、この作品を選んだ恩恵みたいなのはまったくないのだけど、
ひとつあげるならば頭痛やめまいがひどい時の体や頭の重さ等の説明に、アデラの症状がうってつけなことくらいかな。もちろん周りで読んでいる人は皆無なので、「今アデラ状態っす」なんて説明が通じることはない。ただ頭痛でのたうちまわるときにアデラを思い出すだけです。

あとお茶会(だっけ?)を企画しただけで借金が大変なことになるアジズ可哀相だったなあって……

卒論のときに買ったこの本は今でも本棚に置いてあるので
いつでもリベンジできます。さていつになるかしら。


2016/05/12

思ったことを書く。

ブログの更新にはPCがうってつけであるけれども
今の家では我がノートPCに居場所がないのですよね。毎回バッグから引っ張りだして電源をつないで…という一連の作業がめんどくさく、あまり開けることが無くなってしまいました。
でもブログかきたいよーう
っていうのをアプリか何かで解消できる日を心待ちにしていたのだけど、bloggerはちゃんとしたアプリを作るつもりないらしい。というか他のブログはどうなんでしょう。アメーバとかは、さすがに対応しているのかな?と思う。

かかるコストがネックで欲しいけど迷いに迷っていたiPad proをとうとう購入。一番でかいやつです。もちろんApple pencilも買いました。PCを開かないと絵も描かなくなってしまうので、それらを一気に解決してくれそうだったからです。
smart keyboardはまあまあの働き。変換がうまくいかないのはしょうがないとして
ミスタッチあまりないです。あとスペースのデフォルトが半角なの、地味に良いです。

レビューではいろいろ書かれますけど、結局判断するのは自分なので、
人の評価はそんなにあてにならないよって森博嗣さんも言ってたなあと思って
えいやっっと思い切ったわけです。まだドキドキしています(笑)骨の髄まで庶民ですね。

Apple pencilは、もともと持っていたprocreateが対応しているとのことだったので使ってみたら…反応おそい?筆圧感知もあんまり…?だったので何事かと思ったら
私が1年くらいアップデートしていなかっただけでした〜
アプデした瞬間いきなり繊細になりやがった。さすがである。ペンタブのように紙に描いてるような質感は期待できないから、どんなもんじゃいと思っていましたが
なかなか楽しめそうです!わーい。

あとは秘密兵器・djay proも楽しみです。この大きな画面でdj、よだれがでます。
画像のアップが今のところあまりうまくいかないかな。
Googleフォトの設定をいじったらいけるかな?そこまでできたらブログたくさん書けるようになりそうです。

2016/05/09

げんざいのもりひろし度

ファンサイトの会員になって過去のあれこれを読み漁りながら
「森博嗣の道具箱」「ミステリィ工作室」「数奇にして有限の良い終末を」を同時進行で読んでいる程度です。没頭にもほどがあるだろう!

2016/03/28

いいかげんにしたほうが良くないですか

つぶやきのクリーム The cream of the notes (講談社文庫)
森 博嗣
講談社 (2012-09-14)
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つぼやきのテリーヌ The cream of the notes 2 (講談社文庫)
森 博嗣
講談社 (2013-12-13)
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つぼねのカトリーヌ The cream of the notes 3 (講談社文庫)
森 博嗣
講談社 (2014-12-12)
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ツンドラモンスーン The cream of the notes 4 (講談社文庫)
森 博嗣
講談社 (2015-12-15)
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猛烈に読んでいます。
大学生のころから、読んだ本のよいところをノートに抜き書きする癖があって、こうしないと落ち着かないのです。誰もが無駄っていうんだろうなあっていう作業。でも最近からノートを「紳士なノート」のB5版にしたので、書き心地の良さにうっとりしながら時間を費やしています。

森さんの本も前にもいったように100個おもいつきをあげるシリーズはでているものはすべて読んでいるので(現時点であと『素直に生きる100の講義』のみ途中)書き写したいところがわんさかあり、手が痛いです。書き写してないで行動するのが正しいのですが……とにかく書き写しただけで満足する形で終わらないようにするぞ。

(といいつつ最近のデザイン仕事で誘惑に負け続け「こつこつ努力」を実践できなかったのですが……前の記事で「勝率が上がっている」と書いたのもつかの間、負けました。許してにゃん♡←クリームシリーズの1,2巻の解説がももちさんだったため)(この場合の許してにゃん♡は自分に向けての謝罪なのだけど、自分に謝ると確かに「謝るくらいならやれよ!」て思いますね)

書き写すまえに、自分に耳が痛い話題のときはすでにそれが分かるので、「げふっ…」と血を吐くようなメンタルになります。人がいったことコピィしても何にもなんないよ、とか(笑)

・根に持たないで意見はすぐその人に伝える。そして帳消しにして普通にふるまう。嫌われていても気にしない。
・嫌な人でも誰でも人の言葉に耳を傾ける。好きになる必要はない。反発しても拒否してもいいから、意見は聞いておく。あとで気づくことがあるかもしれないから。

などの箇所は普段接する「あまり好きでないひと」を思い浮かべながら読むと歯ぎしりをしたくなる思い。
案外、嫌な人の隣にいるだけではなくて、その人に「どの辺がどう嫌か」を面と向かって伝えることもめんどくさいし、辛いものと感じているので、それができる人は本当に凄いなと思うのだよねえ。
あと「指摘することで嫌われたくない」という意識がある。自己保身は感情から来るものなので、ここを切り分けることこそ「感情」と「行動」を分けることの難しさだなあと。たまに逆上することがあるとき、「今がその観察の練習になるのでは!」と意気込むのですけど、「観察する側の自分」はどうしても「イライラする私」に邪魔されてしまいます。
むー。どうしたものか。

森さんが観察からぼんぼん思いつきをうみだしてる姿をみると、素直に何でも観察してみて自分に生かすのってとっても楽しそうなんですよね。プライドに邪魔されるイライラ、捨てたい、捨てたいのよー!

それと何度かtwitter、facebook、その他無料で利用できるポイントカードなど、無料で利用できるものはその裏にメリットがあるからタダなのであって、けっしてお得ではないと警鐘を鳴らしているのがガツンと来ました。大のtwitter好きなのですが、時々言語表現の狭さとか、トピックに対するコメントのパターン化とか、たたくにふさわしい発言をみつけてはリンチにもってくかんじとかが「うーん」と思うことがあったので。
森さんはもっと高次な観点から無料SNSの危ないところをおっしゃってますけれど、そこはまったく思いつかなかった。なんたる愚鈍!日常に潜む支配をしっかり認識しておきたいです。
というわけで、なんとなくツイッタから離れるようにしています。

あとkpopアイドルを好きになったりスポーツを見たりするけれど、応援のしかたがそれぞれ私の方法はとてもマイナーだなと思っていたのですが、それに関しての指摘もありました。すべての根源は感情が最優先される報道や風潮なのだな。「ファンにはサービスすべき」「情に訴えるものは素晴らしい」「感動を求めて当たり前」という考え方、これも普段気づかない「支配」の枠組みなのかも。


そうそう、森さんが休刊になってしまった雑誌に連載していたというエッセイがwebで公開されていることをキャッチしました!

 やれば良いのだ。やるだけなのだ。ほかに道はない。今直面していること、やりたくないこと、それをやれば良い。やる気なんか出す必要はない。いやいややれば良い。泣く泣くやれば良い。それだけのこと。やりさえすれば、それであっさり解決し、だんだんやる気も出てくる。
【連載】森博嗣 道なき未知 〈第3回〉万能の秘訣を教えよう

いやいや泣く泣くが嫌すぎてやれないという感情の手強さに参っていますが、また対怠けたい自分の勝率あげていきたい。切実に。