辛いやつやった…
愛に包まれて育った双子が、戦争を機に田舎の祖母宅に疎開させられるお話。父からもらったノートに日記をかき、母との約束で勉強だけは続けながら、過酷な毎日を生き延びる双子が、残酷さに打ち勝つために「訓練」と称してお互いを傷つけ合ったり、自分たちで残酷なことをしてみたり…と救いが見えない映画です。戦争の混乱で正義なんてとうになくなっていて、周りの大人たちも醜さをさらけ出していて。
自分の弱い部分をひたすら殺していくことでしか耐えきれない日常の、なんとも冷たくて厳しいことか……。双子と同じく一瞬も気をゆるめることができません。友達ができたり、親切にしてもらうことがあっても、その人たちだって簡単に殺されてしまう。
教会で働くお姉さん意地悪でしたねー。おそらくナチス支持者だったのかな。あんな風に連れて行かれるユダヤ人の行列をおもしろげに眺める人々も実際にいたのでしょうね。その残酷な光景の中で彼女が食べてるパンがめっちゃおいしそうなのがまたね。そしてお姉さんめちゃくちゃ美人でもうね……!この映画は「かわいい」と「つらい」の葛藤がすさまじいです。
お母さんとの再会シーンは、お母さんって私が気づけなくて「このひと誰やねん…」て思ってしまった(笑) だってあまりにも双子がそっけないから……訓練を重ねた日々の代償として、親への愛情も失ってしまったのがここで分かるんですが、またお母さんも新しい男がいたりして、人って弱い生き物ね…とため息。
お父さんも訪ねてくれるんですが、もはや他人同士でしかないんですよね。お互い警戒しあっているし。実際に殺されたわけではなくても、つながりがなくなってしまえばその人を失ったにも等しいので、戦争のむごさが浮き彫りになります。お母さんに言われたとおり「勉強」はしてるのに。お父さんにもらったノートに日記だって書き続けているのに、約束だけが残って約束した人物とのつながりが消えるという。
最後の訓練は正直そこまでしなくてもいいじゃないかって思うほどですが、彼らが真の意味で大人になるには必要だったのかもしれません。「お互い離ればなれになるのが一番こたえた」と言うシーンもあるくらい、強く結ばれている二人が別れる痛み。とっても重たいです。
主役の双子さんは監督がハンガリー中を調べ回ってみつけた素人さんだそうですが、この美しさのおかげで映画がぎりぎり耐えきれるかな!って感じだったので、本当に良いキャスティングです。一ミリも人を信用していないあの目つき、素晴らしかった。
あと口の悪すぎるおばあちゃんもコロコロしててかわいかった~!たまに娘や孫を思いやる感情が垣間見えてほっこりしました。撮影の合間に双子となかよくやっていたのかなと思うと萌える…
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